黒か白か、ではない。
“人間は、その不完全を許容しつつ、愛し合うことです。
不完全であるが故に退け合うのではなく、人間同士が助け合うのです。
他人の行為を軽々しく批判せぬことです。
自分の好悪の感情で、人を批判せぬことです。
善悪のいずれか一方に、その人を押し込めないことです。”
詩人、吉野弘さんの言葉です。
例えば、
「いじめが原因で中学生が自殺した。
生徒が教師に助けを求めたが、教師はそれを無視した。」
などという事件があったとします。
すると、メディアの大半が、こぞって
・いじめた人間、その親等への非難
・放置した学校側の責任
・生徒の助けを無視した教師個人への攻撃
・親への同情
・自殺した生徒への同情
など、誰かを悪者に、
誰かを善人(悲劇の人)に、
という枠に入れて報道します。
当事者ではない、ましてや
自殺した生徒の事を知りもしない外野が
善悪の判断を勝手にし、
あたかもそれが真実であり
たった一つの答えであるかのように
報道・情報拡散をすることがあります。
そういうものに、違和感というか、
嫌悪感というか、ある意味、
「恐怖」を感じていました。
この詩に出会い、
私の感覚は間違いではないよと、
認めていただけたように思いました。
結局のところ、だれにも真実はわからない。
当事者の気持ちはわからない。
何を信じるのかは、自分の心と直感が
一番よく知っているのではないかと思いました。